佐野元春4日目(最終日)


歌は世につれ、世は歌につれ。
ゲストと楽しいトークを繰り広げるコーナー「六本木ジャンクション」です。
いよいよ今日が最終日なんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
今週は佐野さんの2004年までの24年間の軌跡「EPIC YEARS THE SINGLES 1980-2004」の発売にちなんで佐野さんの歴史をひもといていますが、
最終日なので現在の話をお聞かせいただきたいと思います。


ぶりかえすようですけど、『ガラスのジェネレーション』の中に
"つまらない大人になりたくない”という歌詞がありますが、
もちろん佐野さんはつまらなくない大人と(笑)いうわけですね。はい。
どうしたらつまらない大人にならないかと、いう研究を、していこうかと思うんですけど。
なにか心がけること、日常どうしたらいいとか、ございますか。
「よくわかんないんですけど、僕自身は好奇心が強いんですね。いい意味でも悪い意味でも。
好奇心が強いってことは、すごく子供っぽいんですよ、言ってみれば。
子供ってのはこれからいろんな知識を学んでいこうということですから、好奇心が強いのは当たり前ですよね」

たとえばどんなものに興味が向くんですか
「僕人間そのものに興味がある。
その人間のヒストリーであるとか、性格であるとか、弱さ、強さ。
そうした観察から曲ができるんです」

あの…私なんかは、興味、ないんですか
「ありますよ」
ありがとうございます。(笑)すいません。
「(笑)いえ」


男子、特にある年齢になると、エスタブリッシュしますよね。
大人になっちゃう、守りに入る。
それはもう、やっぱり、"つまらない大人"だと思われます?
「すごく難しいんですけど、僕のある曲*1
"ステキなことはステキだと無邪気に笑える心がスキさ"っていう一節があって、
実際それはすごく難しいことなんですね。素直になるということですよね。
だからいつでも素直にいれたら素敵な大人といえると僕は思ってるんです。
心を透明にできたらっていうのが僕の願いですよね。
なかなかそれは街に暮らしてると難しいですけど」

それが出来る人が"つまらない大人"じゃない、ということですね。


今夜は佐野さんの初期の代表曲「SOMEDAY」という曲をテーマにしたいんですけど、
この曲のバックボーン、お話しいただけますか
「曲を書いたのが20代前半、21か22。
当時僕が住んでた小さなアパートで夜中まで、何日もかかって。
あるライン、曲の中の一行がどうしても思い浮かばず、インスピレーションが来るまでずっと待ち続けてたのを覚えてますね」

ずっと待ち続けて…。
「そのラインがついに見つかるわけなんですけども、
そのときにはジグソーパズルの最後のひとつがピシッと合ったような、そういう喜びがありました」


曲、歌詞、どちらが先に出来るんですか
「いっしょです。ほぼいっしょですね」
いっしょに作っていて、ここにピタッと合うピースがあるはずだというところで、最後、ずーっと待って。
「メロディーにはもうすでに言葉が入ってるんだと思うんですね。
僕の仕事というのは、そのメロディーから言葉を引っ張り出すことなのではないかなと思うんですね。
メロディーに言葉をくっつけるんじゃなくて」

そのメロディーが持つ意味というか、感情みたいなものを引っぱり出す
「もうすでに言葉が入っている。で、それを引き出したい。
でも引き出すのにとっても時間がかかるときがあります」


この"someday"。"いつか"と言う意味ですよね。
このとき思っていた"somoday"というのは、すでにやって来たんですか
「これ不思議な言葉なんですね。
"someday"っていうのはいつの日になっても来ないから"someday"なんだいう言い方もできる。
"somedday will never come."っていう言葉もありますよね。
だからこそ希望を持ち続けるんだ、という言い換えもできる。
だからすごく深みのある言葉だと僕は思うんです」


※曲:佐野元春「SOMEDAY」


今夜は巨匠佐野元春さんをゲストに六本木ジャンクションお送りしております。
「えとね、僕巨匠じゃないよ
(笑)すいません。
巨匠じゃない。そのへんの権威に対する、なにか。
「うん、巨匠といわれるのは嫌いだね」
あぁ、そうですか。大変失礼しました
「いえいえ(笑)」


先ほどおっしゃってた、最後まで埋まらなかった1ピース。
これはどこの歌詞なんでしょうね
「僕覚えてますけどね。それは言わないことにしてます」
わかりました。みなさんこれ、想像してみてください。
深く考えたら、その当時の佐野さんの気持ちになってみたら見えてくるのかな。
この一行が難しかったのかなぁとか、深く聴いて想像してみてください。


来週12日にデビューから一昨年までのEPIC時代のシングルをまとめたアルバムと同時に、
同じ24年間に制作されたミュージックビデオを完全収録したDVD*2が発売されるんですが、
DVD、これまた懐かしいですね
「僕も見ましたけど、楽しかったですね(笑)」


四日間本当にありがとうございました
今後ともよろしくお願いします(笑)
「こちらこそ(笑)」


※曲;奥田民生「MANY」


金剛地武志が録音パート以外は生放送でお送りしていますJ-WAVE「TOMORROW」。
佐野さんね、かっこよかったですよ。
曲が流れてる間、実際にスタジオの中で口ずさんでらっしゃるんですね。プレミアものでしょう。聞いちゃいました。
来週は「ウタウイヌ」ことaikoさんがゲストです。