佐野元春さん3回目


今夜もよろしくおねがいします。
今週は佐野さんの歴史を紐解いてるこのコーナーなんですけど、
今日はその歴史の前の前というか、BC何年みたいな話をお伺いしたいなと思っております。


ご出身は東京生まれの東京育ち。
どういう幼年期少年期だったんですか
「小さい頃から好奇心が強い。で、学期末になると必ず親が呼ばれてましたね。先生に」
悪い子だったんですか?
「悪いことしてるつもりはなかったんですけどね。
学期末になると必ず茶封筒渡されて、"お母さん呼んできなさい"って感じでした」

やんちゃというか、活発な子だったんですかねぇ
「そうですね」


子供の頃、どんな大人になりたかったですか。職業とか
「そうですね…漠然と表現することをしたいなとは思ってましたね」
それはもう、小学生の時から
「中学くらいになって。詞を書き始めたり作曲をし始めたりしてましたから、なんとなく…そこで"絶対プロのシンガーになるぞ!"なんていう気持ちはなかったですけども、
音楽とか言葉に興味を持ち始めたのは中学生の頃です」

その頃のものっていうのは、覚えてたりしますか
「その頃っていうのは自分で詞を書けなかったですから、すでにある詩人の詩集に勝手に曲つけてました」
はー…誰の詩集につけてたんですか?
「僕ヘルマン・ヘッセの詩が好きで」
ヘッセ。それも聞いてみたいものですねぇ。
「でも勝手にねぇ、詩集に曲付けて(笑)」
ポエトリーリーディングみたいなもんですね(笑)
「でも、そんなことをしながらだんだんと学んでいったのかもしれないですね」
作詞の方法を。なるほど、それが中学生くらいの頃。


そしてちょっと大きくなって高校生くらいになると
「高校生の前、小学六年くらいの頃から傍らにラジオがあって、当時はトランジスタラジオですけど、それでヒットチャートの番組を聞いたり、東京ですからFENを聞いて、色々なロックンロール音楽に、そこで興味持ち始めました」
バンドとかは
「バンドを初めて組んだのが中学の頃」
そこで曲を作り始めて
「少しずつ自分の言葉を歌い始めて。高校のときには、バンドを二つ三つやってました」


音楽自体の原体験というのは
「両親が音楽好きで、特に僕の母親がエルビス・プレスリーの大ファンで。
物心ついたときにはすでに家にエルビスのアルバムとか、当時の洋楽のレコードとかたくさんありましたね」

いいですねーそういうご家庭にお育ちになったら
「僕の母が本当にポピュラー音楽が好きで、
生まれる前のことなんで、母親の話でしかないんですけど、僕1956年3月13日生まれなんですけど、エルビス・プレスリーデビューアルバムのリリース日なんです」

ほー。
「でもまさかそれに合わせて僕を生んだわけじゃないでしょうけど」
(笑)
じゃぁ実際に、アルバム発売日に買ったりはできなかったですよね。きっと(笑)
「もちろん、そうでしょうね」
(笑)
「ただ僕を生んで、病院から僕を抱えて退院してうちに帰ってきて、当時ジャズ喫茶経営してたそうで、そこのジュークボックスで"お祝いだ"っていうんで、エルビスのロックンロール曲をかけたっていう風に、母が言ってましたけど。お祝いに(笑)」
イカラですねー。
ロックンロールで祝福されたんですね。(笑)
「どうなんだろうね」
違うわけですわ。これ。みなさまわかりましたか?(笑)


本日は、また、代表曲『約束の橋』をテーマにして、お話をお聞きしたいんですけども
この曲は1989年のアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』に収録されてる曲なんですが、
ニューヨークというイメージの佐野さんがロンドンに行かれたと
「ニューヨーク時代があって、そのあとヨーロッパにとても興味があって。
そして半年間ぐらいイギリス、ロンドンに滞在して、そこでまたレコーディングプロジェクトを立てて」

これまた自分で全部。
「はい。ロンドンのミュージシャンたちと一緒に」
メンバーまた探して。クラブでナンパして(笑)
「(笑)クラブによく行きましたね。UKでバンド結成して、レコーディングした。それが『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』。で、この『約束の橋』っていうのは、そのアルバムに収録されています」
この『約束の橋』という叙情的なタイトルですけれど、これに秘められたメッセージは、何か。
「橋っていうのはとても象徴的なものだと思うんですよね。
なにかとなにかを繋ぐ。東と西を繋いだり、世代と世代を繋いだり。
昔からその象徴的な"橋"っていうのにずっと興味があって、いつかその"橋"っていうものをテーマに書いてみたいなっていうのはずっとあったんです。
だからなかなかうまく表現できなかったんですけど、この曲ではうまくいったかなって思ってます」


※曲:佐野元春「約束の橋」


アトラクションズのメンバーも参加してる、パブロック。
「UKのベテランミュージシャンたちですね」
そういう人たちに、自分でアプローチして、メンバーを集めて。予算管理も自分でやって(笑)
「そうですね。色々な悩みも聞いてあげたりしながら(笑)」


というわけで、今週の六本木ジャンクションは佐野元春さんにお越しいただいてます。
明日ついに最終日になってしまうんですが、よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」


※曲:PUSHIM「I PRAY」